資格とキャリア2026-07-08 公開監修:山根一城(株式会社ポテンシャライト)

初任者研修から介護福祉士まで — 資格取得の正しい順番

この記事の要点

「資格って、結局どれをいつ取ればいいんですか」

皆さま、この質問、面談で本当によく受けます。介護の資格は種類も段階も多く、情報を整理せずに調べ始めると混乱しがちです。この記事では、資格の階段を順番と時間軸まで含めて具体的に示します。

0. 前提 — 資格は「積み上げ式」である

まず前提として、介護の資格は基本的に積み上げ式です。いきなり最上位の国家資格から取ることはできず、下の段階を経てから上の段階に進む設計になっています。逆に言えば、今どの段にいても、次の段は必ず見えているということです。焦って全部を一気に取ろうとする必要はありません。

1. 第1段階 — 介護職員初任者研修

介護資格の入口にあたるのが、介護職員初任者研修です。介護の基本的な知識・技術(身体介護の基本、コミュニケーションの取り方、記録の書き方など)を学ぶ研修で、通信と通学を組み合わせた形で、数ヶ月程度で修了できる設計になっています(施設・受講形態により期間は変動します)。無資格から最初に目指す資格として、最も一般的な選択肢です。

多くの施設が、この初任者研修の受講費用を補助する制度を持っています。働きながら受講し、修了後に資格手当が付くケースも多いため、まずは勤務先の支援制度を確認することをおすすめします。

2. 第2段階 — 実務者研修

初任者研修の次に位置するのが、実務者研修です。初任者研修より学習範囲が広く、たんの吸引などの医療的ケアに関する知識も含まれます。この実務者研修を修了していることが、次に説明する介護福祉士の受験資格の一つになります。実務経験を積みながら、初任者研修修了後の自然な次のステップとして受講する方が多い段階です。

3. 第3段階 — 介護福祉士(国家資格)

介護資格の中で最上位に位置するのが、介護福祉士という国家資格です。介護福祉士になるには、実務者研修の修了に加えて、一定期間の実務経験(実務経験ルートの場合)が必要になります。つまり、研修を受けるだけでなく、実務経験の年数も並行してカウントしていく設計です。ここが「資格取得の順番」を考える上で最も重要なポイントで、実務経験の年数要件を満たす前に研修だけ先に終えておく、という時間の使い方をする方も少なくありません。

4. 資格ごとに広がる業務とキャリアの幅

資格の段が上がるごとに、任せられる業務の幅が広がります。無資格・初任者研修の段階では見守りや生活援助が中心になりやすい一方、実務者研修・介護福祉士になると、より専門性の高い身体介護や医療的ケアの一部を担えるようになります。また、処遇改善加算の傾斜配分を採用している施設では、上位資格を持つほど加算の恩恵を受けやすい傾向もあります。介護福祉士を取得すると、生活相談員やユニットリーダーといった現場の一段上の職域も視野に入ってきます。

4-1. 枝節 — 資格手当という「毎月の回収」を忘れない

お金の面を一つ補足します。資格取得には受講費用がかかりますが、多くの施設には資格手当があり、取得した月から毎月の給与に上乗せされます。つまり資格は「一度払って終わりの出費」ではなく、毎月回収が続く投資です。仮に受講費用を施設の支援制度で抑えられれば、回収はさらに早まります。加えて、処遇改善加算の傾斜配分を採用する施設では、資格段階が配分額に直結することもあります。「今は忙しいから」と先送りしている間も、取っていれば入っていたはずの手当は毎月積み上がっている——この見方を持つと、研修の優先順位が変わってくるはずです。

5. 働きながら資格を取るための3つの工夫

働きながらの資格取得を続けるための工夫を3つ挙げます。1つ目、資格取得支援制度のある施設を優先して選ぶこと。受講費用の補助やシフト調整の柔軟さは、施設によって大きな差があります。2つ目、実務経験の年数要件を早めに逆算しておくこと。介護福祉士を見据えるなら、実務者研修の受講と実務経験の積み上げを並行して進める設計が効率的です。3つ目、無理のないペースを保つこと。資格取得を焦って実務がおろそかになると本末転倒です。実務での学びが、研修内容の理解を助ける相乗効果もあります。

5-1. 枝節 — 研修選びで見るべきは「通いやすさ」

研修機関選びについても一言。内容の差より、通い切れるかどうかの差のほうが大きい、というのが実感です。働きながらの受講は、教室の場所と開講曜日が生活に合っているかで完走率が変わります。北海道は冬の移動という固有の事情もあります。通信併用のコースや、職場から近い教室を優先する——地味ですが、これが働きながら修了する人の共通点です。

6. 資格取得を優先する人と、実務経験を優先する人

誤解がないように申し上げると、資格取得を急ぐことが常に正解というわけではありません。まずは現場に慣れて、実務経験を積んでから研修に進みたいという考え方も十分に合理的です。逆に、早い段階から明確なキャリアの方向性(生活相談員やケアマネジャーを目指すなど)が見えている方は、計画的に資格取得を前倒しするのも有効です。自分の現在地の棚卸しと合わせて、どちらのペースが自分に合っているかを考えてみてください。

7. 対比 — 研修を先送りした人と、逆算した人

モデル化した対比をひとつ。どちらも「未経験入職・30歳」という同じスタートだと思ってください。

Aさんは「仕事に慣れてから考える」と研修を先送りし続けました。現場では頼られる存在になりましたが、5年経った時点で資格は初任者研修のみ。介護福祉士を目指そうとしたとき、実務者研修の受講から始める必要があり、そこからさらに時間がかかることに気づきます。Bさんは入職時に「5年後に介護福祉士」と紙に書き、そこから逆算しました。1年目に初任者研修、3年目に実務者研修を修了し、実務経験の年数要件を満たしたタイミングで受験。同じ5年間で、2人の資格段階には2段の差がつきました

Aさんの現場力が無駄だったわけではありません。ただ、資格は「実務経験の年数」と「研修修了」の2つの時計が同時に回る仕組みです。片方の時計(実務年数)は勝手に進みますが、もう片方(研修)は自分で動かさないと止まったままです。逆算とは、この2つの時計を合わせる作業のことです。

8. 実務パート — 「資格逆算メモ」を15分で作る

今日からできる実務に落とします。所要時間は15分です。白紙のメモに、次の4行を書いてください。①今の資格段階(無資格/初任者/実務者/介護福祉士)。②最終的に目指す段階と、その理由(収入・職域・体力の出口、どれでも)。③介護福祉士を目指す場合、実務経験の年数要件を満たすのは何年何月か(入職日から数える)。④その日付から逆算して、実務者研修をいつまでに修了すべきか。

この4行があるだけで、「いつか取ろう」が「◯年◯月までに申し込む」に変わります。あとは勤務先の資格取得支援制度(費用補助・シフト調整)を確認して、研修機関の日程を押さえるだけです。転職を検討中の方は、面接でこのメモを土台に支援制度を質問すると、キャリア意識の高さがそのまま伝わります。

(結論)今の段が見えれば、次の段も見える

まとめます。①資格は初任者研修→実務者研修→介護福祉士の積み上げ式。②介護福祉士には実務経験年数の要件があり、研修と実務を並行して設計する。③資格取得支援制度のある施設を選ぶと、無理なく続けやすい。

今の自分がどの段にいて、次にどの段を目指すべきかは、適性診断でも整理できます。まずは自分の現在地を確かめてみてください。

皆さんいかがでしたでしょうか。資格の階段は、一段ずつでいいのです。では今日もがんばりましょう。

よくある質問

Q. 介護資格はどの順番で取ればいいですか?

一般的には介護職員初任者研修→実務者研修→介護福祉士(国家資格)の順で取得するのが標準的な道筋です。介護福祉士の受験には一定の実務経験年数が必要なため、実務を積みながら段階的に上位資格へ進む設計が現実的です。

Q. 働きながら資格を取ることはできますか?

できます。多くの施設が資格取得支援制度(研修費用の補助・勤務シフトの調整など)を用意しています。求人票や面接で支援制度の有無を確認し、実務と学習を両立できる環境を選ぶことが継続の鍵になります。

Q. 介護福祉士になるとどう変わりますか?

任せられる業務の幅が広がるほか、処遇改善加算の傾斜配分の恩恵を受けやすくなる施設が多く、生活相談員やユニットリーダーなど現場の一段上の職域へのキャリアパスも開けます。国家資格として転職市場でも評価される資格です。

監修:山根 一城(株式会社ポテンシャライト 代表)

IT人材業界20年、ギークリー創業を経て現職。個人として通算4,200名のキャリア面談を実施してきた経験に基づき監修しています。本文中の年収・難易度等は独自ガイドの目安値であり、個人の経験・企業により変動します。

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