働き方の実態2026-07-23監修:山根一城(株式会社ポテンシャライト)

北海道介護職の冬季離職を防ぐ雪道通勤とシフト対策術

この記事の要点

「先生、去年の1月に辞めた子がいて。雪道の通勤がどうしても無理だったって言うんです」

先日、道東のある施設長さんと話していたときに出てきた一言です。僕はこの手の話を、冬になるとほぼ毎年聞きます。結論から先に申し上げると、北海道の介護職において冬季に離職や転職の相談が増えるのは、僕の体感値では確かにある傾向だと考えています。理由は一つではなく、雪道通勤の負担、シフトの組み方、施設ごとの冬支度の差という3つが重なって、心身のコストが一気に表面化するからだと感じています。今日はこの3つを分解しながら、よくある失敗とその対処、今すぐできる対策、地域ごとの違いまでお伝えしていきます。

0. 冬になると介護職の相談が増える理由

僕の携わってきた範囲での体感値ですが、道内の介護職の転職相談は11月末から3月にかけて、他の季節よりも件数が増える傾向があります。もちろんこれは公的な統計データではなく、あくまで現場で相談を受けてきた個人的な観測に基づく傾向だとお断りしておきます。この時期に相談が増える背景には、はっきりとした共通点があると感じています。それは、夏場には見えなかった負担が、雪という物理的な障害によって一気に可視化されるということです。

例えるなら、普段は問題なく履けていた靴が、雪道を歩いた途端に底がすり減ってすぐダメになるようなものです。夏の通勤であれば10分の余裕で済んでいた道のりが、雪や凍結によって30分、時には1時間以上の遅れにつながることがあります。この「見えない負担」が積み重なって、冬の終わりごろに限界を迎える方が一定数いる、というのが僕の実感です。厚生労働省の雇用動向調査では介護分野の離職率は全産業平均よりやや高い傾向が示されていますが、この数字自体に季節要因は含まれていません。あくまで僕個人の観測として、冬季にその傾向が重なって見えやすくなるという理解をしていただければと思います。

1. 雪道通勤という「見えない残業」の正体

雪道通勤の最大の問題は、それが給与に反映されない労働時間だという点です。冬季は出勤前に車の雪下ろしや除雪をしてから家を出る必要があり、これだけで15分から30分ほど余分にかかる方が多い印象です。さらに道路の渋滞や事故のリスクも重なり、通常の通勤時間が平常時のおよそ1.5倍から2倍程度に伸びるというのが、僕の独自ガイドとしての目安値です。これは全道共通の統計ではなく、僕が相談を受ける中で聞き取ってきた範囲の感覚値だとご理解ください。

特に早番のシフトが多い特養や老健などでは、この負担がより顕著になります。早朝5時台に家を出て、除雪をして、渋滞に巻き込まれて、それでも遅刻できないという緊張感を毎日抱えることになります。この緊張感そのものが、じわじわと精神的な疲労として積み重なっていくのだと僕は考えています。給与や休憩時間には反映されないこの「見えない残業」こそが、冬季の離職相談の背後にある一番の要因だと感じています。実際、僕が受けた相談の中には「時給は悪くないのに、通勤で疲れ果ててしまって長続きしない」という声も少なくありません。額面だけでは見えてこないコストがある、という視点はぜひ持っておいていただきたいところです。

2. シフトの落とし穴 — 早番・大雪警報・除雪当番

介護の現場は利用者さんの生活を止められないため、大雪警報が出ていても休業にはなりにくい業種です。むしろ荒天の日ほど、送迎や食事介助、入浴介助といった業務は通常どおり発生します。ここに早番のシフトが重なると、荒天と早朝出勤のダブルパンチになりやすいというのが実態です。

加えて、施設によっては除雪当番が現場の職員に割り振られているケースもあります。これは特に道東・道北の中小規模施設で見られる傾向だと僕は感じていますが、本来の業務の前後に除雪作業が加わることで、実質的な労働時間がさらに延びてしまいます。夜勤明けに大雪でバスが動かず帰宅できないという相談も、冬季には毎年のように耳にします。ある施設では、夜勤者が翌朝の日勤帯まで足止めされ、結果的に16時間近く施設に留まらざるを得なかったという話を聞いたこともあります。こうしたシフト上の落とし穴は、募集要項の「早番・日勤・遅番・夜勤」という表記だけを見ていると、どうしても見落とされがちだと僕は考えています。

3. 施設ごとの「冬支度」格差を見極める質問

同じ北海道内でも、施設によって冬への備えには大きな差があります。駐車場の除雪をどのくらいの頻度で行っているか、通勤手当に冬季加算があるか、大雪の日に始業時刻を弾力的に運用しているか、送迎バスを職員の通勤にも使わせてもらえるかなど、確認すべき項目は意外と多くあります。

面接では「冬は大変ですか」という抽象的な聞き方ではなく、「先月の大雪の日、皆さんは何時ごろ施設に到着していましたか」「除雪は誰が担当していますか」「大雪で遅刻した場合、どのような扱いになりますか」のように、過去の具体的な運用を聞くことをおすすめしています。抽象的な質問には抽象的な答えしか返ってきませんが、具体的な質問には具体的な運用実態が返ってきます。担当者が即答できるかどうかも、実は一つの判断材料になります。毎年当たり前に対応している施設であれば、こうした質問にはすぐに具体例が出てくるはずです。

4. 実践編 — よくある失敗と対処、今日からできるチェックリスト

よくある失敗と対処

僕が相談を受けてきた中で、冬季の入職や在職継続でよく見かける失敗パターンがいくつかあります。一つ目は、面接時に冬の勤務条件を聞かずに入職してしまい、初めての大雪の日に「こんなに大変だとは思わなかった」と戸惑うケースです。対処としては、前章の具体的な質問を必ず一つは投げかけておくことをおすすめします。

二つ目は、通勤ルートを夏の状態のまま想定して入職を決めてしまい、実際に冬道を走ってみたら想定より時間がかかったというケースです。対処としては、可能であれば12月〜2月の時期に一度、実際の通勤時間帯にルートを走ってみることです。難しい場合は、同じ地域に住む知人からの情報だけでも、心構えはかなり変わります。三つ目は、冬用タイヤや防寒装備の準備を後回しにしてしまい、初雪のタイミングで慌てて用意することです。北海道内では例年11月上旬から中旬にかけて初雪の便りが出ることが多いため、10月中には冬支度を済ませておくと安心だと僕は考えています。

今日からできる実務チェックリスト(所要時間つき)

面接前の段階では、応募先施設の冬季対応を口コミや施設周辺の情報から調べておきます。所要時間は15分程度で十分です。面接では先ほどの具体的な質問を最低一つ投げかけてみてください。面接時間の中の1〜2分を使うだけで済みます。

入職前には、実際の通勤ルートを天気の悪い日に一度車で走ってみることをおすすめしています。所要時間は往復で1時間前後を見ておくと良いでしょう。冬用タイヤへの交換や防寒装備の準備は、休日の半日、目安として3〜4時間程度あれば一通り終えられます。さらに、大雪で通常の交通手段が使えなくなった場合の代替ルートやタクシー利用の予算感を、紙に書き出してシミュレーションしておくことも効果的です。これは10分程度の作業ですが、実際に荒天が来たときの心理的な負担をかなり軽くしてくれると僕は考えています。こうした準備は地味に見えますが、冬季の離職リスクを下げるうえでは、実はいちばん効果的な対策だと感じています。

5. ケース比較 — 道央都市部と道東・道北郡部

北海道内でも、地域によって冬の働き方の傾向はかなり異なります。以下は僕の独自ガイドとしての比較の目安です。

項目道央都市部(札幌近郊など)道東・道北の郡部
主な通勤手段公共交通機関+徒歩が中心自家用車が中心
除雪体制比較的整備されているが渋滞が発生しやすい積雪量が多く除雪の追いつかない地域もある
シフトの融通人員が多く代替が立てやすい傾向人員が少ない施設もあるが荒天時の融通が利きやすいケースもある
主なリスク渋滞による遅刻リスク大雪による通行不能・除雪当番の負担

どちらが良い悪いという話ではなく、通勤手段と施設側の対応力の組み合わせで、実際の負担は大きく変わってきます。道央だから安心、道東・道北だから大変というような単純な図式ではないというのが僕の実感です。道央都市部でも除雪の入らない駐車場を使う施設では駐車場内のトラブルが頻発することがありますし、道東・道北の郡部でも除雪業者と長年契約している施設では出勤時間への影響が少ないこともあります。地域だけで判断せず、その施設が実際にどう対応しているかを必ず個別に確認することをおすすめします。

(結論)

ここまで、冬季に介護職の離職相談が増える背景と、その正体である雪道通勤の負担、シフトの落とし穴、施設ごとの冬支度の差、よくある失敗とその対処、そして今日からできる実務チェックリストと地域ごとの違いまでお伝えしてきました。冬の北海道で介護の仕事を続けるということは、雪という物理的な障害と毎年向き合い続けるということでもあります。だからこそ、面接の段階で具体的な質問を一つ投げかけておくこと、入職前に自分の通勤ルートを一度確認しておくことが、想像以上に大きな安心材料になると僕は考えています。皆さんいかがでしたでしょうか。冬の備えは、決して大げさなものでなくて大丈夫です。まずは小さな確認を一つずつ積み重ねていきましょう。では今日もがんばりましょう。

よくある質問

Q. 介護職は冬に離職者が増えるんですか?

はい、僕の体感値では北海道内の介護現場において11月末から3月にかけて転職相談の件数が増える傾向があります。理由は雪道通勤による移動時間の増加、大雪警報時でも休めないシフトの負担、施設ごとの除雪体制や冬季手当の差が重なり、心身のコストが一気に可視化されるためだと考えています。厚生労働省の雇用動向調査でも介護分野の離職率は全産業平均よりやや高い傾向が示されており、冬季の負担が離職の一因として重なっている可能性があります。

Q. 雪道通勤の負担を面接でどう確認すればいいですか?

結論から言うと、駐車場の除雪体制、通勤手当の冬季加算の有無、大雪時の始業時刻の弾力運用、送迎バスの有無の4点を面接で具体的に聞くことをおすすめします。抽象的に『冬は大変ですか』と聞くのではなく、『先月の大雪の日、皆さんは何時に到着していましたか』のように過去の具体的な運用を聞くと、施設の実態が見えやすくなります。

Q. 道央と道東・道北で冬の働き方はどう違いますか?

僕の独自ガイドの目安値では、道央都市部は除雪体制や公共交通機関が発達している一方で通勤ラッシュ時の渋滞リスクが大きく、道東・道北の郡部は積雪量そのものが多く除雪頻度の課題は大きいものの、車通勤中心でシフトの融通が利きやすい施設もあります。どちらが良いというより、通勤手段と施設の対応力の組み合わせで見極める必要があると考えています。

監修:山根 一城(株式会社ポテンシャライト 代表)

IT人材業界20年、ギークリー創業を経て現職。個人として通算4,200名のキャリア面談を実施してきた経験に基づき監修しています。本文中の年収・難易度等は独自ガイドの目安値であり、個人の経験・企業により変動します。

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